「離婚することになったので、住宅ローンを夫から妻に変更したい」
離婚に伴う住宅ローンのご相談では、こうしたご希望をよくいただきます。
しかし、住宅ローンは単純に銀行へ、
「離婚したので夫を外して、妻に変更してください」
とお願いすれば変更できるものではありません。
金融機関との契約があるため、住宅ローンの名義や債務者を変更するには、金融機関の審査や新たな融資などを含めた手続きが必要になります。
今回ご紹介するのは、東京都立川市砂川町のW様のケースです。
W様は53歳。
ご主人も53歳。
ご両親と一緒に二世帯住宅で生活していました。
住宅ローンは、もともとW様のお父様とご主人が三菱UFJ銀行から借り入れていました。
現在の残債は合計約1,250万円。
不動産の持分は、
父親7/10
夫3/10
です。
ところが、夫婦が離婚することになりました。
そこで問題となったのが、
「この住宅ローンを、離婚後もどう整理していくのか」
ということでした。
最終的には、ご主人の持分3/10をW様が1,050万円で取得。
某地方銀行でW様とお父様が新たな住宅ローンを組み、既存の住宅ローンを整理することで、離婚後も現在の二世帯住宅に住み続けられる形を作ることができました。
「夫の住宅ローンを妻に変更する」だけでは解決しない
今回のようなご相談で、最初に理解しておきたいのがここです。
住宅ローンは、
不動産の名義とは別の問題
です。
不動産の所有権を変更したからといって、住宅ローンの債務者まで自動的に変更されるわけではありません。
反対に、
「妻が今後ローンを払います」
と夫婦間で決めたとしても、銀行との契約上の債務者が自動的に妻になるわけでもありません。
だからこそ、離婚後も家に住み続ける場合には、
不動産の名義
と
住宅ローンの契約
をセットで整理する必要があります。
今回も、単純な名義変更ではなく、新しい住宅ローンを利用して全体を組み直す方法を検討しました。
今回は「夫→妻」だけではなく「父+夫→父+妻」への組み替え
今回の案件が特殊なのは、もともとの住宅ローンが夫婦で組まれていたわけではないことです。
当初の借入人は、
W様のお父様+ご主人
でした。
つまり、
義父と義理の息子
で住宅ローンを組んでいたわけです。
離婚すれば、この二人の関係は変わります。
夫はW様の「元夫」になります。
そのため、
「父親と元夫が今後も住宅ローンと不動産を共有する」
という状態を残すことは、W様ご家族にとって望ましい形とはいえません。
そこで今回検討したのが、
父親+妻
という新しい借入関係でした。
もともと、
父親+夫
だったものを、
父親+妻
という形に組み替えるイメージです。
もちろん、これは既存ローンの名義をそのまま書き換えたという意味ではありません。
新しい金融機関で審査を受け、新しい住宅ローンを利用して既存のローンを整理するという方法です。
なぜ「妻+父親」で借りる必要があったのか
今回、W様だけで住宅ローンを組むという方法も考えられます。
しかし、実際の不動産の所有関係や現在の住宅ローン、物件の状況などを考えると、W様のお父様も含めた資金計画を検討する必要がありました。
現在の不動産持分は、
父親7/10
夫3/10
です。
夫の3/10をW様が取得するためには、1,050万円の資金が必要です。
さらに、既存住宅ローン残高は約1,250万円。
住宅ローンを組み直すのであれば、借入額だけでなく、諸費用なども含めて資金計画を考えなければなりません。
そこで、
W様+お父様
という形で新たな住宅ローンを検討しました。
そして某地方銀行で融資を受けることができ、今回の手続きを進めることができました。
「持分3/10」を妻が買い取るという方法
今回の不動産の持分は、
父親7/10
夫3/10
でした。
離婚後も夫が3/10を持ったままでは、元夫が不動産の共有者として残ってしまいます。
そこで、
夫の3/10をW様が取得する
ことにしました。
売買価格は1,050万円。
これによって、夫の不動産持分を整理することができます。
ここで重要なのは、
「離婚だから持分を自動的に妻へ移す」
という考え方ではないことです。
不動産の所有権を移転するためには、具体的な取引や登記など、適切な手続きが必要になります。
また、そのための資金をどう準備するかという問題もあります。
今回の場合は、新しい住宅ローンを利用することで、その資金計画を組み立てました。
既存の三菱UFJ銀行のローンをそのまま残すのではなく、新しい融資へ
もともとの住宅ローンは三菱UFJ銀行からの借入でした。
残債は約1,250万円。
今回の離婚を機に、
「今のローンをそのままにして夫だけ抜ける」
という方法ではなく、新しい金融機関から融資を受けて既存の住宅ローンを整理する方向で進めました。
これは離婚時の住宅ローン問題では重要な考え方です。
現在の金融機関で希望する変更ができない場合でも、
「別の金融機関で新しい住宅ローンを組むことで、全体を整理できないか」
という検討ができる場合があります。
もちろん、新しい金融機関の審査があります。
誰でも借り換えできるわけではありません。
しかし、
「今の銀行で変更できない」
ということと、
「住宅ローンを整理する方法がまったくない」
ということは、必ずしも同じではありません。
二世帯住宅だからこそ「売却しない」という選択
今回の住宅は二世帯住宅です。
W様ご夫妻だけが住んでいたわけではありません。
W様のご両親も一緒に生活しています。
特にお父様は77歳。
この状況で、
「離婚するなら住宅を売却してローンを返済しましょう」
というのは、手続きとしては分かりやすくても、生活面では大きな問題が残ります。
家を売れば、ご両親も新しい住まいを探さなければなりません。
長年暮らしてきた家を離れる必要があります。
二世帯住宅という特殊な住環境も失われます。
そのため今回のW様の場合は、
「家を売却する」ではなく、「住宅ローンと不動産の関係を整理して家を残す」
という方向を検討しました。
離婚後も「家を残す」には、ローンと名義を同時に考える
離婚後もマイホームに住み続けたい場合、
「名義変更だけお願いします」
という相談になることがあります。
しかし、実際には、
①不動産の所有者は誰なのか
②住宅ローンの債務者は誰なのか
③現在のローン残高はいくらなのか
④新しい借入は可能なのか
⑤持分を取得するための資金はいくら必要なのか
⑥親が所有者・借入人として残る場合の関係はどうするのか
など、複数の問題を同時に整理する必要があります。
今回も、
「夫の持分3/10を妻が取得する」
という不動産の問題と、
「父親+妻で新しい住宅ローンを組む」
という金融の問題を組み合わせることで解決しました。
離婚後に「元夫が共有者として残る」ことを避ける
今回のケースで、もう一つ重要なのが、
離婚後の共有関係
です。
もし夫の3/10をそのままにして離婚すれば、
父親7/10
元夫3/10
という状態になります。
つまり、離婚した後も元夫がその家の所有者の一人として残ります。
W様のご両親が住んでいる二世帯住宅なのに、
「元夫が3/10の所有権を持っている」
という状態です。
住宅を将来的に売却したり、大きな変更をしたりする際にも、元夫との関係が残る可能性があります。
今回、夫の持分をW様が取得したことで、この問題を整理する方向に進めることができました。
離婚時の住宅ローンは「誰が住むか」から考える
住宅ローンの問題になると、
「誰が借りられるのか」
という点ばかりに目が向きます。
しかし、実際にはその前に、
「誰がこの家に住み続けるのか」
を考える必要があります。
今回の場合は、
- 夫は離婚後に家を出る
- 妻は両親と一緒に住み続ける
- 父親は77歳
- 二世帯住宅である
- できれば家を売却したくない
という状況でした。
そのため、
「住み続ける人を中心に住宅ローンと所有関係を組み直す」
という考え方が重要でした。
こんな方は一度、現在の状況を整理してください
今回のW様のケースと似ているのは、例えば次のような方です。
- 離婚するが、今の家には住み続けたい
- 住宅ローンを夫から妻側に整理したい
- 妻の親と夫で住宅ローンを組んでいる
- 親と夫が共有名義になっている
- 離婚すると親と元夫の共有不動産になってしまう
- 高齢の親が同居している
- 二世帯住宅なので売却したくない
- 今の銀行では住宅ローンの名義変更が難しいと言われた
- 元夫を不動産の共有者として残したくない
こうした場合、
「現在の銀行で名義変更できるか」
だけで終わらせず、
「新しい住宅ローンを組んで全体を整理できる可能性がないか」
というところまで含めて検討することが重要です。
今回のW様のケースを整理すると
今回の立川市砂川町W様のケースは、
離婚
↓
夫が不動産の共有者として残る可能性
↓
高齢の両親が住んでいるため売却は避けたい
↓
夫の3/10の持分を妻が取得
↓
妻+父親で新しい住宅ローンを検討
↓
新しい金融機関で融資実行
↓
既存ローンを整理
↓
不動産の権利関係も整理
という流れでした。
単純な「住宅ローンの借り換え」ではありません。
不動産の持分、住宅ローン、離婚、高齢の親、二世帯住宅という複数の問題を一つずつ整理していった案件です。
まとめ|「夫から妻へ住宅ローンを変更したい」は、名義変更だけではありません
離婚に伴って、
「夫名義の住宅ローンを妻名義にしたい」
というご相談は珍しくありません。
しかし、住宅ローンは単純に名義を書き換えるだけではありません。
今回のW様のケースのように、
夫+父親
で借りていた住宅ローンを、
妻+父親
という新しい形で組み直すことで、離婚後の住宅ローンと不動産を整理できるケースがあります。
もちろん、金融機関の審査があるため、すべての方が同じ方法を利用できるわけではありません。
また、現在の不動産の持分や住宅ローンの残高によっても方法は変わります。
それでも、
「離婚するから夫の住宅ローンを妻に変更したい」
という場合、
「今の銀行で名義変更できるか」
だけではなく、
「新しい住宅ローンを利用して、住宅ローンと不動産の名義をまとめて整理できないか」
という視点を持つことが大切です。
今回のW様は、夫の3/10の持分を1,050万円で取得し、某地方銀行でW様とお父様の新しい住宅ローンを利用することで、既存の住宅ローンと不動産の権利関係を整理することができました。
そして何より、
77歳のお父様を含むご家族が、これまで暮らしてきた二世帯住宅で生活を続けられた
ことが、今回の大きな成果でした。
離婚したら家を売る。
それだけが答えではありません。
「誰が住み続けるのか」
「誰が所有するのか」
「誰が住宅ローンを借りるのか」
この3つを整理することで、今の家を残す方法を検討できる場合があります。
当センターでは、離婚に伴う住宅ローンの借り換え、共有持分の売買、名義変更などについて、個々のご家族の状況に合わせて解決方法を検討しています。
「離婚後も今の家に住み続けたい」
「高齢の親を引っ越しさせたくない」
「元夫を住宅ローンや不動産の関係から外したい」
そんな場合には、まず現在の状況を整理するところから始めてみてください。
【実例】離婚で住宅ローンの借入人を「夫から妻へ」変更できる?立川市の二世帯住宅でローンを組み直した事例
離婚住宅ローンセンター
住所:東京都中野区中央1丁目1−1
マイライフビル 2階
電話番号:0120-689-798
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