「離婚して、元夫は実家に戻りました。」
「私は子どもと、この家に住み続けています。」
「でも、家の名義がまだ元夫のままなんです。」
東京都世田谷区砧にお住まいのS様から、このようなご相談をいただきました。
S様ご夫妻は一昨年に離婚。
元夫は杉並区の実家へ戻り、S様は現在もお子様と一緒に、約15年前に建築した住宅で暮らしていました。
しかし、この住宅には大きな問題が残っていました。
土地はS様の父親名義。
その土地の上に建っている住宅は元夫名義。
住宅ローンも元夫名義。
つまり、離婚した後も、
「親の土地の上に、元夫名義の建物が残っている」
という状態だったのです。
S様としては、今後も子どもとこの家に住み続けたい。
そして、できれば住宅も自分の名義にして、住宅ローンも自分の責任で整理したい。
ところが、ここで一つ大きな問題がありました。
S様の年収だけでは、現在の住宅ローン残債約2,500万円に加えて、名義変更などに必要となる諸費用約200万円を含めた借入をすることが難しい状況だったのです。
そこで今回、当センターが検討したのが、S様のお父様の年金収入を収入合算する方法でした。
結果として、住宅ローンの借り換えを実現し、元夫名義だった建物をS様名義へ移転。
住宅ローンについても元夫名義からS様名義へ整理することができました。
さらに、当センターでは不動産売買の仲介、重要事項説明書の作成なども行い、建物の所有権移転まで含めて一連の手続きを完了しました。
今回は、この実例を詳しくご紹介します。
離婚したのに「家の名義が元夫のまま」だった
S様のご家庭では、約15年前に現在の住宅を建築しました。
建築場所は、S様のお父様が所有する実家の敷地内です。
つまり、
土地:S様のお父様名義
建物:元夫名義
という状態でした。
そこにS様とお子様が現在も居住しています。
一昨年に夫婦は離婚しました。
元夫は杉並区の実家へ戻りました。
しかし、離婚したからといって、建物の名義や住宅ローンまで自動的に変更されるわけではありません。
そのため、離婚後も、
父親の土地
+
元夫名義の建物
+
元夫名義の住宅ローン
という状態が残っていました。
「今住めているから問題ない」と思ってしまう危険性
こうしたケースでは、
「元夫はもう住んでいないし、私は子どもと普通に住めているから、このままでもいいのでは?」
と考えてしまうことがあります。
しかし、これは将来的に大きな問題になる可能性があります。
特に今回のように、土地が親名義の場合です。
S様のお父様が土地を所有している。
その土地の上に元夫名義の建物がある。
そして、元夫はすでに離婚して実家へ戻っている。
この状態をそのまま放置すると、将来、お父様に相続が発生したとき、
「親の土地なのに、そこに元夫名義の建物が建っている」
という非常に複雑な状態が残る可能性があります。
土地の相続人からすれば、
「この建物は誰のものなのか?」
「なぜ元夫名義の建物が親の土地にあるのか?」
という問題になります。
さらに、建物の所有者である元夫が将来亡くなれば、建物について相続の問題も発生します。
つまり、
離婚した時点で夫婦関係は終わっても、不動産の権利関係まで終わっているとは限らない
のです。
S様が希望したのは「家もローンも自分名義にすること」
S様は現在、子どもとこの住宅で生活しています。
今後もこの家に住み続けたい。
そのため、
「建物を自分の名義にしたい」
という希望がありました。
同時に、
「住宅ローンも元夫から自分の名義に変更したい」
という希望です。
ところが、ここで住宅ローンの問題が出てきました。
現在の住宅ローン残債は、
約2,500万円。
さらに、今回の手続きには、
約200万円の諸費用
も必要になる見込みでした。
つまり、S様が住宅ローンを借り換えるためには、概ね、
2,500万円+約200万円=約2,700万円
程度の資金が必要になる計算です。
S様の年収は約300万円
S様は現在、フルパートで働いています。
また、自治体から子どもに関する各種手当等も受け取っています。
それらを含めた年収は約300万円でした。
もちろん、住宅ローンの審査は年収だけで決まるものではありません。
しかし、S様ご本人の収入だけで、
2,500万円の住宅ローン残債+約200万円の諸費用
を借り換えるのは、現実的には難しい状況でした。
そこで、ここで終わらせないのが当センターの仕事です。
「本人の収入だけで無理」なら、他に方法がないかを考える
住宅ローンの相談をしていると、
「その年収では難しいですね」
と言われて終わってしまうことがあります。
もちろん、金融機関の審査がありますので、借入できないものを無理に借りることはできません。
しかし、
「本人単独の収入では難しい」
ことと、
「別の方法も含めて検討できない」
ことは同じではありません。
S様のケースでは、ご家族の収入状況を確認したところ、お父様に年金収入がありました。
そこで検討したのが、
お父様の年金収入を収入合算して住宅ローンを組む方法
です。
お父様の年金収入は約250万円。
S様の収入と合わせることで、住宅ローンの審査について検討できる形が見えてきました。
もちろん、年金を収入合算できるかどうかや、どのような条件で借入できるかは金融機関の審査・商品条件によります。
しかし、今回のケースでは、この方法が解決への大きなポイントになりました。
父親の年金収入を合算して住宅ローンを組む
今回のポイントは、
S様だけの年収では難しかった住宅ローンを、お父様の年金収入を合算することで検討できる状態にした
ことです。
S様の年収:約300万円
お父様の年金収入:約250万円
という状況でした。
これによって、S様単独ではなく、家族の収入状況を含めて住宅ローンの可能性を検討することができました。
ただし、ここも誤解してはいけません。
「年金250万円を足せば必ず借りられる」という話ではありません。
金融機関によって、
- 年金収入の取り扱い
- 収入合算の条件
- 年齢
- 借入期間
- 借入額
- 担保評価
- 既存借入
- その他の審査条件
などが異なります。
そのため、S様の状況に合う金融機関・融資方法を探し、実際に審査を受ける必要がありました。
そして、元夫名義の住宅ローンを一括返済
住宅ローンの借り換えが進められることになり、次の段階へ進みました。
現在の住宅ローンは、イオン銀行で借りている元夫名義の住宅ローンです。
残債は約2,500万円。
今回の新しい融資によって、この既存住宅ローンを一括返済します。
つまり、
元夫名義の住宅ローン
↓
新しい住宅ローン
↓
妻側の住宅ローンへ整理
という形です。
これによって、元夫が住宅ローンの債務者として残り続ける状態を解消することを目指しました。
同時に「建物の名義」も妻へ変更
住宅ローンだけを整理しても、建物の名義が元夫のままでは問題が残ります。
今回の住宅は、
土地:父親名義
建物:元夫名義
でした。
S様が今後もこの家に住み続けるのであれば、
建物もS様名義にする
ことが必要です。
そこで、住宅ローンの借り換えと合わせて、元夫からS様への建物の所有権移転を進めました。
当センターでは今回、単に住宅ローンの相談だけを行ったのではありません。
不動産の売買についても仲介として関わり、必要な重要事項説明書の作成なども行い、建物の名義変更まで一連の流れとして対応しました。
「住宅ローン」と「不動産売買」を一緒に考える
このケースで非常に重要なのがここです。
住宅ローンだけを考えると、
「S様が2,500万円を借りられるか」
という話になります。
しかし、実際にはそれだけではありません。
元夫からS様へ建物を移転するためには、不動産取引としての整理も必要です。
そのため、
住宅ローン
だけではなく、
不動産売買・所有権移転
まで含めて全体を組み立てる必要がありました。
今回、当センターでは売買仲介を行い、重要事項説明書の作成も含めて手続きを進めました。
最終的には、
元夫名義の建物
→ S様名義
元夫名義の住宅ローン
→ S様側の住宅ローン
という整理を完了することができました。
このケースの本当のポイントは「相続問題」だった
今回、S様が家に住み続けられたことだけが解決ではありません。
実は、もう一つ非常に大きな意味があります。
それが、
将来のお父様の相続問題を複雑にしない
ということです。
お父様の土地に、元夫名義の建物が残っている。
この状態のままお父様が亡くなった場合、土地について相続が発生します。
そのとき、土地の相続人と建物所有者が別人という状態になります。
しかも、その建物所有者が娘の元夫。
離婚して家を出ている人物です。
これは、将来の相続手続きや土地利用を考えるうえでも、非常に整理しにくい状態です。
もちろん、土地と建物の権利関係については個別の契約や法的関係の確認が必要ですが、
「離婚したから元夫名義の建物をそのままにしておけばいい」
とは限りません。
今回、建物をS様名義に整理できたことで、
父親の土地
+
娘S様の建物
という、家族内で分かりやすい権利関係に整理することができました。
これは将来の相続を考えるうえでも大きな意味があります。
離婚後の不動産問題は「今」だけ見てはいけない
離婚時には、
「とりあえず今住めればいい」
となりがちです。
しかし、不動産は何十年という単位で所有することがあります。
だからこそ、
今どうなっているのか
だけではなく、
10年後、20年後にどうなるのか
まで考える必要があります。
今回のS様の場合、
現在は、
「元夫名義の建物に妻と子どもが住んでいる」
というだけでした。
しかし将来的には、
「父親の土地を相続する」
という問題が発生します。
その土地の上に、
「元夫名義の建物がある」
となれば、権利関係がさらに複雑になります。
だからこそ、離婚後の段階で建物の名義を整理しておくことには意味がありました。
このパターンは当センターでは何度も扱っている
今回の案件は、一般の方から見るとかなり複雑に見えるかもしれません。
- 離婚
- 親名義の土地
- 元夫名義の建物
- 元夫名義の住宅ローン
- 妻の年収約300万円
- 残債約2,500万円
- 諸費用約200万円
- 父親の年金約250万円
- 収入合算
- 住宅ローン借り換え
- 建物の売買
- 所有権移転
- 将来の相続問題
これだけの要素が一つの案件に入っています。
しかし、当センターでは、このような
「親の土地に元夫・元妻名義の建物が残ってしまっている離婚案件」
をこれまでにも複数取り扱ってきました。
そのため、当センターにとっては決して「前例のない特殊案件」ではありません。
もちろん、金融機関の審査もありますし、個別の条件によって難易度は変わります。
ただ、
「どこから手を付ければいいのか」
については、これまでの経験をもとに最初から道筋を描くことができます。
今回も、必要な手続きが分かっていたため、
住宅ローン
→ 不動産売買
→ 名義変更
→ 既存ローンの一括返済
という流れを組み立て、無事に完了することができました。
「年収300万円だから無理」で終わらせない
S様のケースから、もう一つお伝えしたいことがあります。
住宅ローンの相談で、
「年収300万円だから2,500万円は難しい」
という判断だけで終わってしまうと、今回のような解決方法にはたどり着けません。
もちろん、無理な借入をおすすめするという意味ではありません。
住宅ローンには金融機関の審査があります。
しかし、
本人の収入だけでは難しい
↓
家族の収入を含めて検討できないか
↓
年金収入はどう扱えるか
↓
どのような融資方法があるか
と順番に考えていくことで、可能性が変わることがあります。
今回のS様も、本人の年収だけで考えれば難しい案件でした。
そこにお父様の年金収入という条件を加えることで、解決への道筋が見えてきました。
離婚後も住み続けたい。でも「元夫名義」は残したくない
S様のように、
「離婚後も子どもと今の家に住み続けたい」
という方は少なくありません。
しかし、
「家は元夫名義のまま」
「住宅ローンも元夫名義のまま」
という状態を長期間続けることには、さまざまな問題があります。
夫婦関係はすでに終わっています。
それなのに、不動産と住宅ローンだけが元夫婦の関係を残してしまう。
さらに今回のように、土地が親名義なら、将来の相続まで絡んできます。
だからこそ、
離婚後に誰が住むのか
↓
誰が所有するのか
↓
誰が住宅ローンを返すのか
↓
土地と建物の権利関係をどうするのか
まで整理しておくことが重要です。
まとめ|「元夫名義の建物」をそのまま残さないという選択
今回の世田谷区砧S様のケースでは、
- 一昨年に離婚
- 元夫は杉並区の実家へ戻った
- 妻は子どもと現在の住宅に居住
- 住宅は約15年前に建築
- 土地はS様のお父様名義
- 建物は元夫名義
- 住宅ローンも元夫名義
- 残債約2,500万円
- S様の年収は約300万円
- 諸費用約200万円も必要
- S様単独での借入は難しい状況
- 父親の年金約250万円を収入合算して住宅ローンを検討
- イオン銀行の既存住宅ローンを一括返済
- 建物を元夫からS様へ移転
- 住宅ローンもS様側へ整理
- 当センターが売買仲介・重要事項説明書作成なども担当
- 建物の所有権移転まで完了
という流れで問題を解決しました。
この事例で特に重要なのは、
「離婚した後も、元夫名義の建物が親の土地に残っている」
という状態をそのままにしなかったことです。
現在は問題なく住めていても、将来、土地所有者である親に相続が発生した場合には、土地と建物の所有者が異なることによって、権利関係が複雑になる可能性があります。
だからこそ、離婚時の不動産問題は、
「今、誰が住んでいるか」
だけではなく、
「誰が所有するのか」
「誰がローンを払うのか」
「将来、相続が発生したときにどうなるのか」
まで考えることが大切です。
S様の場合、本人の年収だけでは住宅ローンの借り換えが難しい状況でした。
しかし、お父様の年金収入を含めて融資方法を検討することで、元夫名義の住宅ローンを整理し、建物をS様名義へ移転することができました。
当センターでは、このような
「親の土地に元夫・元妻名義の建物がある」
という離婚後の不動産問題についても、住宅ローンだけでなく、不動産売買や名義変更まで含めて一連の流れを整理しています。
「離婚したけれど、家が元夫名義のまま」
「親の土地に元夫名義の建物が建っている」
「自分の収入だけでは住宅ローンを借り換えられそうにない」
「このままにしておくと、親の相続のときに問題になりそう」
こうしたケースでも、最初から「無理」と決めつけるのではなく、現在の不動産・住宅ローン・家族の収入状況を整理することで、別の方法を検討できる場合があります。
離婚後の住宅問題は、夫婦だけの問題ではありません。
親の土地、子どもの生活、住宅ローン、そして将来の相続。
これらを一つの不動産問題として考えることが、解決への第一歩になります。
【実例】離婚後も「元夫名義の家」が親の土地に残っている問題|世田谷区砧S様が父親の土地上の建物を妻名義に変更した事例
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