離婚してからも、妻が以前の自宅に住み続けている。
住宅ローンの返済も妻が毎月きちんと行っている。
だから、
「特に問題はないのでは?」
と思っている方は少なくありません。
今回、東京都世田谷区上野毛からご相談いただいたケースも、最初はまさにその状態でした。
約7年前に新築した2世帯住宅。
土地は妻の親が所有しており、その土地の上に親世帯と夫婦で暮らす住宅を建築しました。
その後、夫婦は離婚。
元夫はすでに家を出て、別の賃貸住宅で生活しています。
住宅ローンの残債は約2,500万円。
妻は43歳、公務員、年収約650万円。
そして現在の住宅ローンは、妻自身が返済していました。
ところが、住宅ローンも建物の名義も、元夫が関係する状態のままです。
元夫から当センターに、
「離婚したので、住宅ローンも家の名義も妻に移したい」
とご相談がありました。
一方、妻は、
「ローンは私が払っているし、このままでいいと思う」
という考えでした。
このようなケースでは、夫婦だけで話をしてもなかなか話が進まないことがあります。
そこで当センターが間に入り、現在の状態を整理。
妻に今のままにしておく場合の問題点と、妻自身の住宅ローンに切り替えて名義を整理する方法を説明しました。
最終的に妻にもご理解いただき、
元夫から妻への建物売買、新しい住宅ローンへの借換え、旧ローンの完済、登記まで、すべての手続きを完了しました。
今回はこの実例から、
「離婚後、妻がローンを払っているなら、そのままでいいのか?」
という問題について考えてみます。
1.「払っている人」と「借りている人」が違う
今回のケースを理解するうえで、まず知っておいていただきたいことがあります。
それは、
住宅ローンを実際に払っている人と、金融機関からお金を借りている人は別問題
だということです。
例えば、
- 住宅ローンの契約者は元夫
- 家に住んでいるのは元妻
- 毎月の返済をしているのも元妻
という状態。
実生活だけを見れば、
「妻が全部払っているのだから、妻の家」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、住宅ローンの契約上はそうとは限りません。
住宅ローンの債務者が元夫のままであれば、金融機関との関係では元夫が債務者として残っています。
所有権についても同じです。
実際に住んでいる人と、登記上の所有者が同じとは限りません。
ここを曖昧にしたまま長期間過ごすことには注意が必要です。
2.今回、元夫が「名義を外したい」と考えた理由
今回、当センターに最初に相談されたのは元夫でした。
離婚して、すでに家を出ている。
現在は別の賃貸住宅で生活している。
それにもかかわらず、自分の名前が住宅ローンや不動産に残っている。
そこで、
「もう離婚したのだから、妻の名義に整理したい」
という希望を持たれていました。
これは元夫側から見ると非常に重要な問題です。
自分が住んでいない家について、住宅ローンの債務者として残り続けることになるからです。
妻がきちんと返済している間は問題が表面化しないかもしれません。
しかし、住宅ローンは何十年という長期間の契約です。
だからこそ、
「今、返済できているか」だけではなく、「将来どうするのか」
まで考えておく必要があります。
3.では、妻が返済できなくなったら?
ここが、今回妻に説明した重要なポイントです。
現在は妻が住宅ローンをきちんと返済している。
しかし、将来も同じ状態が続くとは限りません。
病気、転職、収入減少、生活環境の変化など、人生にはさまざまなことがあります。
もし住宅ローンの契約者が元夫のままで、妻が返済できなくなった場合、
元夫にも影響が及ぶ可能性があります。
「もう離婚しているから関係ない」
というわけにはいきません。
住宅ローンの契約上の責任と、離婚後の夫婦関係は別問題だからです。
だからこそ、
「今はちゃんと払えているから大丈夫」
だけではなく、
「契約上も整理しておいた方がいいのではないか」
という視点が必要になります。
4.逆に、元夫側にも将来的な問題があります
この問題は妻だけの問題ではありません。
元夫にとっても、
自分が住んでいない家の住宅ローンを抱え続ける
ことになります。
例えば将来、元夫自身が住宅ローンを組んで新しい家を購入したいと思ったとします。
そのとき、
「すでに住宅ローンがあります」
という状態であれば、新しい住宅ローンの審査に影響する可能性があります。
もちろん、具体的な審査結果は金融機関によって異なります。
しかし、
「離婚して家を出たから、元夫の住宅ローン問題も終わった」
とは限りません。
だからこそ、離婚後はできるだけ早い段階で住宅ローンと不動産の関係を整理することが大切です。
5.妻は「このままでいい」と思っていた
今回のケースで難しかったのは、妻が手続きを必要だと感じていなかったことです。
妻は43歳。
公務員で年収約650万円。
住宅ローンの返済も自分で行っています。
生活そのものは問題なく回っていました。
そのため、
「わざわざ面倒な手続きをしてまで変更する必要があるの?」
というお気持ちだったと思います。
これは決して珍しいことではありません。
離婚後の住宅ローン相談では、
「ちゃんと払っているから問題ない」
という考え方をされている方がいます。
しかし、住宅ローンは毎月の返済だけを見ればいいものではありません。
誰が借りているのか。
誰が所有しているのか。
誰が住んでいるのか。
この3つを整理して考える必要があります。
6.夫婦だけで話し合うと、なかなか進まない
今回、元夫から妻に、
「名義を変更した方がいい」
と直接話してもらうこともできました。
しかし、離婚した夫婦の場合、住宅ローンやお金の話をすると、どうしても感情が入ってしまいます。
これはどちらが悪いという話ではありません。
離婚に至るまでには、それぞれにいろいろな事情があります。
そのため、
「なぜ今さらそんなことを言うの?」
「私はちゃんと払っているでしょう」
「もう離婚したのだから、自分でやればいいじゃない」
など、話が本来の問題から逸れてしまうことがあります。
そこで今回、元夫から当センターに、
「一度、妻に説明してほしい」
という依頼がありました。
7.第三者だからこそ説明できることがある
私たちは、妻に対して、
「名義変更してください」
と一方的にお願いしたわけではありません。
まず、
「現在どういう状態になっているのか」
を整理しました。
そして、
- 住宅ローンの債務者
- 不動産の所有名義
- 実際の居住者
- 実際に返済している人
- 離婚後の生活
それぞれを分けて説明しました。
そのうえで、
「今の状態を続ける方法」
と、
「妻自身の住宅ローンに切り替えて整理する方法」
を考えていただきました。
最終的には、妻にも状況をご理解いただき、
「それなら、きちんと自分の名義にしておいた方がいい」
ということで、手続きを進めることになりました。
8.妻には住宅ローンを組める条件があった
今回の妻は43歳。
公務員。
年収約650万円。
住宅ローン残債は約2,500万円。
もちろん住宅ローンは年収だけで決まるものではありません。
金融機関による審査が必要です。
しかし、今回の条件であれば、妻自身が新しい住宅ローンを組んで現在のローンを完済する方法を検討することができました。
そこで、
新しい金融機関で住宅ローンを借りる
↓
現在の住宅ローンを完済する
↓
元夫から妻へ建物を売買する
↓
所有権を妻へ移転する
という流れで手続きを進めました。
離婚に伴う住宅ローンの整理では、金融機関によっては借換えという方法が検討できる場合があります。(sbishinseibank.co.jp)
9.今回の2世帯住宅で特殊だった「土地」の問題
今回、もう一つ特徴的だったのが土地です。
土地の所有者は、妻の親でした。
つまり、
土地=妻の親
建物=夫婦
という関係です。
そのため、土地まで妻に売却する必要はありません。
今回の手続きでは、対象となる建物について整理を行いました。
このように、二世帯住宅や親の土地に建てた住宅では、
土地と建物の名義が違う
というケースがあります。
離婚したからといって、土地・建物をすべて一括して考えればいいとは限りません。
まず、
土地は誰のものなのか。
建物は誰のものなのか。
住宅ローンは誰が借りているのか。
を整理することが重要です。
10.最終的に行った手続き
今回、最終的には以下の手続きを行いました。
元夫から妻への建物売買
離婚後も妻が住み続ける建物を、元夫から妻へ売買。
妻の新しい住宅ローン
妻自身が新たな住宅ローンを利用。
元夫の住宅ローンを完済
新しい融資によって、現在の住宅ローンを完済。
旧抵当権の抹消
これまで設定されていた抵当権を抹消。
妻への所有権移転
建物の所有権を妻へ移転。
新しい抵当権を設定
新しい住宅ローンに伴う抵当権を設定。
こうして、
「元夫が住宅ローンと不動産に関係している状態」
から、
「妻自身が住宅ローンを借り、妻が建物を所有する状態」
へ整理することができました。
11.今回かかった費用
今回の手続きでは、以下のような費用が発生しました。
- 当センター費用:約100万円
- 司法書士費用:約30万円
- 新しい金融機関への保証料・事務手数料等:約60万円
合計すると、約190万円程度です。
住宅ローンの借換えでは、金利だけを見てしまいがちですが、
保証料や事務手数料、登記費用などの諸費用
も考慮する必要があります。
また、実際に必要となる費用は、借入条件や金融機関、登記内容などによって異なります。
今回のケースでも、最初に費用を含めて全体像を整理したうえで手続きを進めました。
12.「名義を変えるだけ」ではありません
離婚後の住宅問題について、
「名義変更をすればいい」
と考えている方もいます。
しかし、住宅ローンが残っている場合は、単純な登記上の名義変更だけでは済まないことがあります。
金融機関との契約関係を整理しなければならないからです。
そのため、
不動産の名義変更
だけではなく、
住宅ローン
抵当権
売買
借換え
などを一つの流れとして考える必要があります。
今回も、建物の売買だけを行ったのではありません。
新しい住宅ローンを利用し、元夫のローンを完済し、旧抵当権を抹消し、新しい抵当権を設定し、所有権も妻へ移しました。
一つの手続きだけを見ていては、全体を整理できないケースです。
13.離婚後の住宅ローン問題は「後回し」にされやすい
離婚すると、まず生活を立て直すことが優先されます。
引っ越し。
子供の学校。
仕事。
財産分与。
生活費。
こうした問題に追われ、
「住宅ローンは今まで通り払えているから、まあいいか」
となってしまうことがあります。
しかし、住宅ローンは長期間続きます。
だからこそ、離婚した時点で、
「この住宅ローンを最終的にどうするのか」
を決めておくことが大切です。
すぐに借換えができない場合でも構いません。
収入が足りないなら、将来に向けて準備する。
物件の条件を確認する。
住宅ローンの残高を確認する。
金融機関に相談する。
必要な手続きを整理する。
今回の相模原市のケースのように、1年、2年かけて準備する方法もあります。
重要なのは、
「今の状態を放置する」のではなく、「将来どう整理するか」を決めること
です。
14.元夫と直接話をしたくない場合でも
離婚後の住宅ローン問題では、
「元夫とはもう話したくない」
「妻に直接話すのが難しい」
というご相談もあります。
これは珍しいことではありません。
住宅ローンの話だけならまだしも、離婚という過程を経験した二人が、
「家の名義をどうするか」
「ローンをどうするか」
「お金をいくら払うか」
について話し合うのは、精神的な負担が大きい場合があります。
当センターでは、このような場合に第三者として間に入り、住宅ローンと不動産に関する調整を無償で行っています。
もちろん、すべてを当センターだけで決めるわけではありません。
それぞれの事情や希望を確認し、必要な情報を整理したうえで、手続きが進むように調整していきます。
今回も、元夫から妻へ直接何度も説明してもらうのではなく、当センターが間に入って説明することで、最終的に妻にも納得していただき、手続きを進めることができました。
15.「妻が払っているから大丈夫」と思っている方へ
今回のケースからお伝えしたいのは、
住宅ローンは「誰が払っているか」だけで判断しない
ということです。
確認していただきたいのは、
- 住宅ローンの債務者は誰か
- 不動産の所有者は誰か
- 実際に住んでいるのは誰か
- 実際に返済しているのは誰か
- 土地と建物の名義はどうなっているか
- 抵当権はどこに設定されているか
- 離婚後の契約関係をどうするのか
です。
これらを一度整理してみてください。
そして、
「このままで本当にいいのか?」
を考えてみることです。
16.離婚したら「元夫婦の問題」から「契約の問題」へ
離婚直後は、住宅ローンの問題も夫婦間の問題として考えてしまいます。
しかし、離婚が成立した後も住宅ローン契約は残ります。
元夫婦の関係が終わっても、
金融機関との契約まで自動的に終わるわけではありません。
だからこそ、感情ではなく、
「契約上、どう整理するのがいいのか」
という視点で考える必要があります。
今回の世田谷区上野毛のケースでは、最初は妻が「このままでいい」と考えていました。
しかし、現在の状態を第三者から説明し、将来的なことまで含めて考えていただいた結果、妻自身の住宅ローンへ切り替え、建物も妻名義にすることになりました。
そして、無事に決済まで完了しました。
17.離婚後の住宅ローンは「誰かを責める問題」ではありません
今回のようなケースでは、
「元夫が悪い」
「妻が悪い」
という話ではありません。
元夫は、
「離婚した以上、自分の名前を住宅ローンから外したい」
と考えていた。
妻は、
「自分がきちんと返済しているのだから問題ないと思っていた」
だけです。
どちらも、それぞれの立場から考えれば自然なことです。
だからこそ、第三者が間に入り、
「現在の契約はこうなっています」
「このままだとこういう問題が考えられます」
「こういう方法なら整理できる可能性があります」
と、事実関係を一つずつ整理することに意味があります。
離婚後の住宅問題では、感情をぶつけ合うより、専門家を間に入れて「手続きの問題」として整理した方が話が進みやすいケースがあります。
18.「離婚後も家に住み続けたい」なら、名義とローンを一度確認してください
今回の世田谷区上野毛のケースでは、
43歳・公務員・年収650万円
という妻の収入状況を生かして、新しい住宅ローンを組むことができました。
そして、
約2,500万円の住宅ローンを整理し、建物の名義も妻へ変更。
約7年前に建てた2世帯住宅に、これからも妻が住み続けられる形になりました。
離婚後の住宅問題では、
「家を売るか、今のままにするか」
だけではありません。
「住宅ローンを妻に切り替え、名義も整理して住み続ける」
という方法を検討できる場合があります。
ただし、実際に借換えができるかどうかは、妻の収入、年齢、借入額、不動産の評価、金融機関の審査などによって変わります。
そのため、
「私の場合はどうなのか?」
を個別に確認することが重要です。
離婚後の住宅ローンを、そのままにしていませんか?
「妻が払っているから大丈夫」
「元夫はもう家に住んでいないから関係ない」
「離婚したときに話し合ったから問題ない」
と思っている方も、一度、
住宅ローンの名義と不動産の名義を確認してみてください。
離婚後の生活を安定させるためには、今の生活だけではなく、これから先の住宅ローンと不動産の関係まで整理しておくことが大切です。
当センターでは、離婚後の住宅ローンや不動産名義について、当事者同士で話し合うことが難しい場合も、第三者として間に入り、状況の整理や調整を行っています。
「元夫とは直接話したくない」
「妻にどう説明したらいいか分からない」
「住宅ローンをこのままにしていいのか不安」
という方も、まずは現在の状況をご相談ください。
離婚した後だからこそ、
住宅ローンと不動産を、きちんと整理しておく。
それが元夫婦双方の新しい生活を守るための一歩になります。
【実例】離婚後も妻が住宅ローンを払っているのに、なぜ元夫の名義を外すのか?|世田谷区上野毛の2世帯住宅で実際に行ったこと
離婚住宅ローンセンター
住所:東京都中野区中央1丁目1−1
マイライフビル 2階
電話番号:0120-689-798
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