メタディスクリプション:
離婚後も今の家に住み続けたい、子どもの生活環境を変えたくない。でも住宅ローンや家の名義はどうすればいいのか。離婚前に確認したい7つのポイントを、住宅ローンの借入人・不動産名義・連帯保証人の違いから、名義変更や借り換えの考え方まで解説します。
はじめに|離婚を決めたとき、家をどうするかまで考えていますか?
離婚を考えたとき、まず決めなければならないのは、夫婦関係をどう整理するかということです。
しかし、マイホームがあるご夫婦の場合、離婚そのものとは別に、もう一つ大きな問題が残ります。
それが、住宅ローンと不動産の名義をどうするかという問題です。
「夫名義の家だけれど、離婚後は妻と子どもが住み続けたい」
「住宅ローンは夫が払うことになったので、家のことは解決したと思っている」
「夫婦でペアローンを組んでいるけれど、離婚したら自分のローンだけ外せるのだろうか」
「家を妻に渡すと離婚協議書に書けば、名義も自動的に変わるのだろうか」
こうした疑問を抱えたまま、離婚の手続きを進める方は少なくありません。
ところが、不動産の名義、住宅ローンの契約、連帯保証人などの関係は、それぞれ別に整理する必要があります。離婚が成立したからといって、これらが自動的に変更されるわけではありません。
当センターでは、離婚に伴う住宅ローンや共有名義不動産の問題について、年間1,000件程度のご相談を受けています。これまで、離婚後も自宅に住み続けたい方や、元配偶者の持分を取得したい方、住宅ローンの借り換えを検討する方など、さまざまなケースに携わってきました。
その経験からお伝えしたいのは、離婚時に家を売却することだけが選択肢ではない一方、何も整理せずに住み続けることにも注意が必要だということです。
この記事では、離婚前に確認しておきたい7つのポイントを、実務上の注意点とともに解説します。
1.最初に確認するのは「家の名義」と「住宅ローンの契約者」
離婚に伴う住宅問題で、最初に確認していただきたいのは、不動産の名義と住宅ローンの契約内容です。
この2つは、必ずしも一致しているとは限りません。
例えば、次のようなケースがあります。
家の名義は夫だが、妻も住宅ローンの連帯保証人になっている
夫婦それぞれが住宅ローンを借りているペアローンである
家の名義は夫婦共有だが、住宅ローンは一方の名義で契約している
夫と妻が連帯債務者として、1つの住宅ローンを借りている
親の土地に夫名義の建物が建っている
同じ「離婚時の住宅ローン問題」でも、契約内容によって整理の方法は異なります。
不動産の名義は登記事項証明書で確認する
まず、土地と建物それぞれの所有者を確認しましょう。
土地は妻の父親名義、建物は夫名義というケースもあれば、土地と建物の両方を夫婦で共有しているケースもあります。
マンションの場合でも、夫婦のどちらか一方だけが所有者なのか、共有名義なのかによって対応が変わります。
不動産の名義や持分は、登記事項証明書(登記簿謄本)で確認できます。
住宅ローンの契約内容も確認する
次に、住宅ローンの契約書や金融機関からの書類を確認します。
確認したいのは、主に次の項目です。
借入人は誰か
連帯債務者がいるか
連帯保証人は誰か
現在のローン残高はいくらか
毎月の返済額はいくらか
住宅ローン以外の借入があるか
不動産の名義だけを確認しても、住宅ローンの問題は把握できません。
反対に、住宅ローンの返済を誰がしているかだけを確認しても、不動産の所有権が誰にあるかは分かりません。
離婚後に誰が住むのか、誰が家を取得するのか、誰がローンを負担するのか。この3つを分けて整理することが出発点です。
2.離婚協議書で家を渡すと決めても、名義が自動的に変わるわけではない
離婚協議の中で、次のように決めることがあります。
「離婚後は妻が子どもと家に住む」
「住宅ローンは夫が支払う」
「家は妻に渡す」
夫婦間で合意することは重要です。しかし、その合意だけで不動産の登記名義や金融機関との契約が自動的に変更されるわけではありません。
例えば、離婚協議書に「自宅を妻に譲渡する」と記載しても、実際に所有権を移すためには、登記手続きなどを検討する必要があります。
さらに、住宅ローンが残っている場合には、所有権を移すことと、ローンの借入人を変更することは別の問題です。
金融機関との契約によっては、事前の相談や承諾が必要となります。住宅ローンの契約内容を確認せずに名義を変更すると、契約上の問題が生じる可能性もあります。
「夫婦で決めたこと」と「金融機関が認めること」は別
ここは、特に注意していただきたいポイントです。
夫婦間で「夫がローンを払い続ける」と合意しても、金融機関に対する返済義務がその合意だけで変更されるわけではありません。
また、妻が家を取得することに夫婦が合意しても、妻が住宅ローンを引き継げるかどうかは、金融機関の審査や契約条件によって決まります。
そのため、離婚協議書を作成する段階から、家と住宅ローンをどのように整理するのかを具体的に検討することが大切です。
3.離婚後も家に住み続けたいなら、売却以外の方法も検討する
離婚時に住宅ローンが残っていると、「家を売却するしかない」と考える方もいらっしゃいます。
もちろん、売却が適切な解決方法になるケースもあります。
しかし、子どもの学校や生活環境を変えたくない、親の近くに住み続けたい、長年住んだ地域を離れたくないなどの事情から、できれば自宅を残したいという希望もあります。
そのような場合には、売却だけでなく、どちらか一方が家を取得し、住宅ローンを整理する方法も検討できます。
例えば、次のような方法です。
方法①:妻が家を取得し、住宅ローンを組み直す
夫名義の家に妻と子どもが住んでいる場合などに、妻が家を取得し、新たな住宅ローンを利用して既存のローンを返済する方法が考えられます。
ただし、妻の収入、勤続年数、既存の借入、物件の担保評価などによって、審査結果は異なります。
方法②:夫が家を取得し、妻の持分を整理する
夫婦共有名義の家で、離婚後は夫が住み続ける場合には、妻の持分を夫が取得する方法が考えられます。
この場合も、持分の移転だけでなく、住宅ローンや連帯保証などの関係を確認する必要があります。
方法③:ペアローンや連帯債務型の住宅ローンを整理する
夫婦がそれぞれ借入人となるペアローンと、夫婦が連帯債務者となる住宅ローンでは、契約の構造が異なります。
どちらの場合も、離婚しただけで一方の返済義務がなくなるわけではありません。契約内容を確認し、借り換えなどの方法を検討する必要があります。
方法④:売却する
住宅ローン残高と売却価格、売却に必要な費用、今後の住居費などを比較し、売却が合理的な選択となるケースもあります。
大切なのは、最初から方法を一つに決めつけないことです。
家を残せるかどうかは、希望だけで判断できるものではありません。しかし、物件とローンの状況を整理することで、検討できる選択肢が見つかる場合があります。
4.住宅ローンが残っている家は、売却価格との比較が欠かせない
家を売却するか、住み続けるかを考える際には、住宅ローンの残高と現在の売却価格を比較する必要があります。
例えば、次のようなケースを考えてみましょう。
住宅ローン残高:3,500万円
自宅の売却査定価格:3,000万円
単純に比較すると、売却価格がローン残高を500万円下回っています。
実際には仲介手数料などの売却費用も考慮する必要があるため、自己資金がなければ売却時にローンを完済できない可能性があります。
このように、売却価格がローン残高を下回る状態は、一般に「オーバーローン」と呼ばれます。
オーバーローンだからといって、すべてのケースで売却できないわけではありません。しかし、通常の売却で住宅ローンを完済できるかどうか、追加資金が必要かどうかを確認することが重要です。
一方、家を残す方法を検討する場合にも、ローン残高だけで判断することはできません。
取得する人の収入や既存借入、物件の評価、借り換えに必要な諸費用などを確認する必要があります。
例えば、売却すると大きな不足が生じる一方で、一方の配偶者が住宅ローンを組み直せる可能性があるなら、売却以外の方法も比較する価値があります。
ただし、借り換えが認められるかどうかは金融機関の審査次第です。売却と借り換えの両方について、数字を確認したうえで判断することが大切です。
5.ペアローン・連帯債務・連帯保証人の違いを把握する
離婚時の住宅ローン問題では、契約上の立場を正しく把握することが欠かせません。
似た言葉ですが、それぞれ意味が異なります。
ペアローン
夫婦がそれぞれ住宅ローンを契約する方法です。
夫と妻が別々の借入人となり、互いのローンについて連帯保証人となる契約もあります。
離婚後に一方が家を取得したい場合、もう一方のローンだけを単純に消すことはできません。それぞれのローン契約や担保関係を確認し、必要に応じて借り換えなどを検討します。
連帯債務
夫婦が一つの住宅ローンについて、連帯して返済義務を負う形です。
ペアローンのように夫婦が別々のローンを契約する形とは異なります。
離婚に伴って家の所有者を一方にまとめたい場合でも、所有権の整理と借入契約の整理を分けて考える必要があります。
連帯保証人
主たる借入人が返済できなくなった場合などに、契約に基づいて返済責任を負う立場です。
離婚したからといって、連帯保証人としての責任が自動的になくなるわけではありません。
「離婚後は元夫がローンを払うから大丈夫」と考えていても、金融機関との契約上の責任が残っている可能性があります。
まずは自分の契約形態を確認する
ご自身がどの立場にあるのか分からない場合には、住宅ローンの契約書や金融機関への確認を通じて、借入人・連帯債務者・連帯保証人の区別を把握しましょう。
この違いが分かると、何を解決しなければならないのかが明確になります。
6.住宅ローンの審査が心配でも、収入だけで早々に結論を出さない
「自分の収入では住宅ローンを借りられない」
「パート勤務だから、夫名義の家を引き継ぐのは無理だろう」
このように考え、家を残すことを最初から諦めている方もいらっしゃいます。
もちろん、住宅ローンの審査では収入が重要な判断材料になります。しかし、収入だけで結果が決まるわけではありません。
一般的には、次のような項目が確認されます。
年収と毎月の返済負担
勤続年数や雇用形態
自動車ローンなど、住宅ローン以外の借入
物件の担保評価
借り換え後の返済計画
金融機関が定める審査基準
そのため、現在の状況だけで可能性を決めつけず、必要な条件を整理することが大切です。
実際に、最初は収入がなかった方が家を残したケースも
当センターがご相談を受けた神奈川県相模原市のケースでは、離婚後に夫名義の戸建て住宅を妻名義に変更したいというご希望がありました。
初回相談時、妻は50歳で、専業主婦でした。住宅ローンの残高は約1,000万円ありました。
妻は今後の住まいや年齢を考え、できれば現在の家に住み続けたいと希望していました。
そこで、収入を得るための就職を含め、住宅ローンの借り換えに向けた準備を進めることになりました。
妻は就職して月収約25万円を得るようになり、一定期間の勤務実績を積んだ後、金融機関への相談や申込みを進めました。そして、最終的に住宅ローンの借り換えと名義変更を実現しました。
もちろん、同じ条件で誰もが借り換えられるわけではありません。また、このケースの経過をそのまま他の方に当てはめることもできません。
それでも、最初の相談時点で収入がなかったからといって、将来にわたって選択肢がないと決まっていたわけではありませんでした。
今の条件で難しい場合でも、どのような条件が整えば検討できるのかを考えることが大切です。
7.元夫婦が直接話し合えない場合も、問題を整理する方法はある
離婚に伴う住宅問題では、金銭面や契約面だけでなく、元夫婦の関係性が障害になることもあります。
例えば、次のような状況です。
元夫と直接連絡を取りたくない
住宅ローンの話になると感情的な対立が起きる
相手が名義変更に協力してくれない
相手は「今までどおり返済すればいい」と考えている
離婚協議は終わったが、家とローンの問題だけが残っている
このような場合、当事者同士だけで話し合いを続けても、なかなか前に進まないことがあります。
そこで重要になるのが、問題を整理し、必要な手続きを組み立てる調整役です。
当センターでは、まず不動産の名義、住宅ローンの契約、残債、希望する解決方法などを確認します。そのうえで、必要に応じて金融機関への相談、売買や持分移転に関する手続き、関係者間の調整などを進めます。
元夫婦が直接やり取りすることが難しい場合でも、第三者を介して必要な情報や手続きを整理できるケースがあります。
ただし、すべてのやり取りを代行できるわけではなく、相手方の協力や金融機関の判断が必要になることもあります。
それでも、最初から「話し合えないから何もできない」と決めつけず、どの部分で調整が必要なのかを整理することには意味があります。
住宅ローンの問題は、金融機関との契約だけを見ても解決しません。不動産の所有権、当事者の希望、必要な手続き、費用、今後の生活まで考慮して進める必要があります。
このような複数の問題を整理し、実現可能な方法を探ることが、当センターが大切にしている役割です。
離婚前に確認したい7つのポイント|チェックリスト
ここまでの内容を、実際に確認するときに使える形にまとめます。
□ 1.土地と建物の名義を確認したか
登記事項証明書で、所有者と持分を確認しましょう。
□ 2.住宅ローンの契約形態を確認したか
借入人、連帯債務者、連帯保証人が誰なのかを確認しましょう。
□ 3.ローン残高と毎月の返済額を把握したか
金融機関の残高証明や返済予定表などを確認しましょう。
□ 4.家の現在の売却価格を把握したか
ローン残高と比較し、売却した場合に資金が不足しないかを確認しましょう。
□ 5.離婚後に誰が住み、誰が家を取得するかを整理したか
住み続ける人と所有者が異なる場合には、将来のリスクも検討しましょう。
□ 6.住宅ローンの借り換えや名義変更の可能性を確認したか
収入、既存借入、物件評価などを整理し、金融機関に相談しましょう。
□ 7.離婚協議書の内容と実際の手続きが整合しているか
不動産の所有権、住宅ローン、連帯保証などについて、必要な手続きを確認しましょう。
この7項目を確認するだけでも、何が決まっていて、何が未解決なのかが整理しやすくなります。
住宅ローンと家の問題は、離婚前から相談することが大切
離婚後も家に住み続けたい場合、住宅ローンの問題を先送りにしないことが重要です。
離婚後に対応できるケースもありますが、離婚前のほうが当事者間で話し合いやすいこともあります。
特に、ペアローンや連帯債務、連帯保証人が関係する場合には、離婚後に思わぬ問題が残る可能性があります。
一方で、離婚時の住宅問題は、すべて同じ方法で解決できるものではありません。
家の名義、住宅ローンの残高、当事者の収入、物件の評価、家族の生活状況などによって、適した方法は異なります。
そのため、最初から売却だけに限定せず、住み続ける方法、持分を整理する方法、住宅ローンを組み直す方法などを比較しながら考えることが大切です。
共有名義不動産問題研究所では、離婚に伴う住宅ローンの問題を整理しています
一般社団法人 共有名義不動産問題研究所では、離婚に伴う住宅ローンの借り換え、不動産の名義変更、夫婦間売買、ペアローンや連帯債務の整理などについてご相談をお受けしています。
これまでの相談・解決経験をもとに、現在の契約状況とご希望を確認し、どのような方法が検討できるかを整理します。
当センターでは、次のようなご相談をお受けしています。
離婚後も子どもと今の家に住み続けたい
元夫名義の家を妻名義に変更したい
ペアローンを整理して、一方の名義にまとめたい
住宅ローンの連帯保証人から外れたい
元夫婦が直接話し合うことなく、手続きを進める方法を検討したい
親の土地に建っている家を、離婚後も残したい
電話・メール・Zoom・LINEなどを利用したご相談にも対応しており、全国からご相談いただけます。
もちろん、すべてのケースで借り換えや名義変更が実現するわけではありません。金融機関の審査や契約条件、関係者の協力などによって、対応できる範囲は異なります。
それでも、住宅ローンと不動産の問題を一つずつ整理することで、これまで気づかなかった選択肢が見つかる場合があります。
離婚するから家を売る。それだけが答えとは限りません。
大切なのは、家を残したい理由と、現在の住宅ローン・不動産の状況を整理し、実現可能な方法があるかを確認することです。
離婚前でも、離婚後でも、住宅ローンや家の名義について気になることがあれば、まずは現在の状況を整理するところから始めてみてください。
【離婚前に必読】家を残したいなら、住宅ローンと不動産名義で確認すべき7つのこと
離婚住宅ローンセンター
住所:東京都中野区中央1丁目1−1
マイライフビル 2階
電話番号:0120-689-798
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