離婚時の住宅ローン名義変更・借り換え実例

共有名義マンションを妻単独名義へ変更したケース

― 神奈川県横浜市・40代ご夫婦の事例 ―

はじめに

離婚時に最も揉めやすい問題の一つが「住宅ローン」と「不動産名義」です。
特に近年は、共働き世帯の増加により「ペアローン」「共有名義」「収入合算」で住宅を購入しているケースが非常に増えています。

しかし、離婚をするとなると、

  • 誰が住み続けるのか
  • 住宅ローンを誰が払うのか
  • 名義をどう変更するのか
  • 銀行が承認するのか
  • 売却せずに整理できるのか

といった問題が一気に発生します。

今回は、実際にご相談いただいた「共有名義マンションを妻単独名義へ変更した事例」をご紹介します。
現在、離婚に伴う住宅ローン問題で悩まれている方の参考になれば幸いです。


ご相談内容

今回ご相談いただいたのは、神奈川県横浜市内のマンションにお住まいの40代ご夫婦でした。

購入時の状況

  • 物件価格:約5,200万円
  • 購入時期:2019年
  • 住宅ローン:ペアローン
  • 夫:2,800万円借入
  • 妻:2,400万円借入
  • 持分:夫55%・妻45%
  • 金融機関:都市銀行利用

当時は共働きで世帯年収も高く、問題なく住宅ローン審査を通過。
しかし、その後夫婦関係が悪化し、離婚することとなりました。


離婚後も妻と子供が住み続けたい

今回のケースでは、

  • 子供の学区を変えたくない
  • 妻が現在も安定した収入がある
  • 夫は退去予定

という事情から、妻がマンションに住み続ける方向で話が進みました。

しかし、ここで大きな問題となったのが「住宅ローン」と「共有名義」です。


離婚しても住宅ローンは自動で変更されない

ここを誤解されている方が非常に多いのですが、離婚したからといって住宅ローンの契約内容は自動では変更されません。

つまり、

  • 元夫が住まなくなっても
  • 離婚届を提出しても
  • 財産分与協議をしても

銀行との契約はそのまま残ります。

そのため、このまま放置すると、

  • 元夫に住宅ローン返済義務が残る
  • 妻単独では売却できない
  • 将来的なトラブルになる
  • 元夫が新たな住宅ローンを組めなくなる

といった問題が発生します。

実際、離婚後数年経過してから、

「元配偶者と連絡が取れない」
「売却できない」
「滞納問題が起きた」

というケースは珍しくありません。


今回の解決方法

妻単独で住宅ローン借り換えを実施

今回のケースでは、妻単独で新たな住宅ローンを組み直し、

  • 既存ペアローン完済
  • 夫の持分を妻へ移転
  • 妻単独所有へ変更

という形で整理を行いました。

いわゆる「ペアローン一本化」の方法です。


まず問題となったのは残債額

当初、銀行相談時に問題となったのが住宅ローン残高でした。

当時の残債は約4,600万円。
しかし、マンション査定価格は約4,900万円前後。

つまり、売却可能な水準ではあったものの、

  • 仲介手数料
  • 繰上返済費用
  • 引越費用
  • 財産分与調整

などを考えると、売却メリットが少ない状況でした。

また、妻としては、

「子供の生活環境を変えたくない」

という希望が非常に強く、住み続ける方向で調整を進めました。


妻単独ローン審査のポイント

離婚時の借り換えでは、通常の住宅ローン審査とは異なるポイントを銀行が確認します。

今回、特に重視されたのは以下の内容でした。

① 妻単独収入で返済可能か

当然ですが、元夫の収入は今後合算できません。

そのため、

  • 現在の年収
  • 勤続年数
  • 雇用形態
  • 他借入状況

などを詳細に確認されました。


② 養育費の扱い

養育費について質問されるケースもあります。

ただし、多くの金融機関では、養育費を安定収入として強く評価しない傾向があります。

そのため、

「養育費込みなら返済可能」

ではなく、

「本人収入ベースでも成立するか」

が重要となります。


③ 離婚協議内容

銀行によっては、

  • 離婚協議書
  • 公正証書
  • 財産分与内容

などの提出を求められる場合があります。

今回は事前に整理していたため、比較的スムーズに進行しました。


金融機関選定が非常に重要

離婚案件では、どこの銀行でも対応できるわけではありません。

実際、

  • 離婚案件に消極的な銀行
  • ペアローン一本化不可の銀行
  • 名義変更自体を認めない銀行

もあります。

そのため、通常の住宅ローン仲介ではなく、離婚時の不動産・住宅ローン整理に慣れた専門家へ相談することが非常に重要になります。

今回は複数金融機関を比較し、最終的に全国保証利用型の金融機関で承認を取得しました。


実際の手続きの流れ

今回の流れは以下のような形でした。

Step1 事前相談

まずは現在の状況整理を実施。

  • ローン残高確認
  • 名義確認
  • 固定資産税確認
  • 収入確認
  • 信用情報確認

などを行いました。


Step2 不動産査定

売却した場合の価格も把握するため、市場査定を実施。

これにより、

「本当に住み続けるべきか」

も含めて比較検討を行いました。


Step3 金融機関事前審査

複数金融機関へ事前相談。

離婚案件は通常案件より事前調整が重要です。


Step4 離婚協議調整

住宅だけ先行すると後でトラブルになるため、

  • 財産分与
  • 引渡時期
  • 持分移転
  • 残置物

なども整理しました。


Step5 借り換え実行・名義変更

新規住宅ローン実行後、

  • 既存ローン完済
  • 抵当権抹消
  • 所有権移転
  • 新規抵当権設定

を同日に実施。

最終的に妻単独所有へ変更完了となりました。


離婚時の住宅ローン問題は放置が危険

離婚時、「とりあえず今まで通り払っておく」というケースも多いのですが、これは非常に危険です。

特に共有名義の場合、

  • 支払い停止
  • 滞納
  • 連絡不能
  • 勝手な売却相談
  • 相続発生

など、後から大きな問題になることがあります。

また、元夫・元妻双方にとって、

「住宅ローンが残っているせいで新たなローン審査が通らない」

というケースも実際に多くあります。


離婚時の住宅ローン問題は早めの相談が重要

離婚に伴う不動産問題は、

  • 売却
  • 名義変更
  • 借り換え
  • 任意売却
  • 持分整理

など、状況によって解決方法が大きく変わります。

特に住宅ローンが絡む場合は、

「不動産」
「銀行」
「法律」
「税務」

の知識が同時に必要になります。

インターネット情報だけでは判断が難しいケースも多いため、早い段階で専門家へ相談することをおすすめします。


まとめ

今回のケースでは、

  • 妻単独で住宅ローン借り換え
  • 元夫ローン完済
  • 共有名義解消
  • 妻単独所有化

を実現することで、子供の生活環境を変えずに整理することができました。

離婚時の住宅ローン問題は、対応方法を間違えると数年後に大きなトラブルへ発展する可能性があります。

一方で、適切な手順を踏めば、

  • 売却せず住み続ける
  • ペアローンを一本化する
  • 名義変更を行う

ことも十分可能です。

現在、

  • 離婚予定
  • 別居中
  • 住宅ローン問題で悩んでいる
  • ペアローン整理をしたい
  • 名義変更を検討している

という方は、早めに状況整理を行うことをおすすめします。


離婚時の住宅ローン名義変更・借り換え実例

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