はじめに|ペアローンではないのに、離婚時に住宅ローンと名義の問題が発生
「夫婦で住宅ローンを組んでいるけれど、ペアローンではない。この場合、離婚するときに家の名義や住宅ローンはどうすればよいのだろう?」
離婚に伴う住宅ローンの問題というと、夫婦それぞれが住宅ローンを借り入れる「ペアローン」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、夫婦の収入を合算して借り入れる連帯債務型の住宅ローンでも、離婚時には不動産の持分や住宅ローンの債務を整理する必要が生じることがあります。
今回ご紹介するのは、東京都杉並区浜田山にお住まいのI様(夫・40歳)からご依頼いただいた事例です。
I様ご夫婦は、ペアローンではなく、夫婦の収入を合算した連帯債務型の住宅ローンを利用していました。
借入額は5,300万円。不動産の持分は夫が10分の7、妻が10分の3という割合でした。
離婚にあたり、I様は妻の持分を取得し、住宅ローンも整理したうえで、マンションを夫単独名義に変更したいと希望されていました。
そこで当センターでは、某地方銀行の融資を利用する方法を検討。I様は上場企業に勤務し、年収850万円という収入基盤があった一方、車のローンが約500万円残っていたため、既存借入も含めた審査への対応が必要でした。
最終的には、金融機関の融資承認を得て、当センターで売買契約書や重要事項説明書などの手続きを進め、無事に名義変更を完了することができました。
今回は、ペアローンではない連帯債務型の住宅ローンを、離婚に伴ってどのように整理したのか、実際の事例をもとに解説します。
1.今回のI様の事例|夫7/10・妻3/10の共有名義を整理
まず、今回のご相談内容を整理します。
ご相談者:東京都杉並区浜田山 I様(夫・40歳)
不動産の持分:夫10分の7、妻10分の3
住宅ローン:夫婦の収入を合算した連帯債務型
当初の借入額:5,300万円
妻の持分:10分の3
持分割合を借入額に当てはめた参考額:1,590万円
夫の勤務先:上場企業
夫の年収:約850万円
既存借入:車のローン約500万円
離婚時の希望:妻の持分と債務を整理し、夫単独名義に変更
借り換え先:某地方銀行
諸費用:約250万円は自己資金で用意
※1,590万円は、当初借入額5,300万円に妻の持分割合10分の3を単純に掛けた参考額です。実際の債務負担額や、離婚時に妻の持分を取得するための対価が、この金額と一致するとは限りません。
今回のポイントは、住宅ローンの契約形態がペアローンではなく、連帯債務型だったことです。
不動産の持分と住宅ローンの債務関係を確認しながら、妻の持分を夫が取得し、夫単独名義に変更するための方法を検討する必要がありました。
2.ペアローンと連帯債務型の住宅ローンは何が違う?
離婚に伴う住宅ローンの整理では、最初に契約形態を正確に把握することが重要です。
ペアローンと連帯債務型は、夫婦の収入を活用して住宅を購入するという点では似ていますが、契約の仕組みが異なります。
ペアローンの場合
ペアローンは、夫婦それぞれが別々の住宅ローン契約を結ぶ方法です。
夫が一方の住宅ローンを、妻がもう一方の住宅ローンを借り入れる形となり、それぞれの借入額や不動産の持分などを踏まえて契約します。
離婚時に妻が家を出て夫が住み続ける場合などには、妻側の住宅ローンをどのように返済するか、妻の持分をどうするかといった問題が生じます。
連帯債務型の場合
連帯債務型は、夫婦など複数人が一つの住宅ローン契約について、ともに債務を負う仕組みです。
契約内容によっては、夫婦の収入を合算して借入可能額を算出し、住宅を購入することができます。
今回のI様ご夫婦はこちらのタイプでした。
夫婦それぞれが別々の住宅ローンを組んでいたわけではありません。しかし、不動産は夫7/10、妻3/10の共有名義であり、住宅ローンについても連帯債務の関係がありました。
このため、離婚にあたっては、妻の不動産持分を夫に移転するだけでなく、住宅ローンの契約上の債務関係も整理する必要がありました。
ペアローンではないから、離婚時の住宅ローン問題が簡単になるとは限りません。
連帯債務型には連帯債務型の確認事項があり、実際の契約内容や金融機関の審査に応じた対応が必要です。
3.妻の持分3/10を夫が取得し、夫単独名義にする
今回、I様が希望されていたのは、離婚後も住宅を保有し続け、妻の持分を取得して夫単独名義にすることでした。
現在の持分は夫が10分の7、妻が10分の3です。
妻の持分を夫に移転すれば、登記上の所有者を夫単独にすることができます。
ただし、不動産の持分を移転することと、住宅ローンの債務者を変更することは別の問題です。
夫婦間で「今後は夫が住宅ローンをすべて負担する」と合意しても、その合意だけで金融機関に対する妻の債務が消えるわけではありません。
連帯債務者から外れるためには、金融機関の承認を得るなど、契約に応じた手続きが必要になります。
今回のI様のケースでも、不動産の名義だけを変更するのではなく、住宅ローンを含めて整理する方法を検討しました。
そこで、某地方銀行の融資を利用し、妻の持分取得と住宅ローンの整理を進めることになりました。
なお、妻の持分を取得する際には、持分の対価や財産分与との関係、税務上の取り扱いなども確認する必要があります。持分の移転方法は、個別の事情に応じて検討することが重要です。
4.年収850万円でも、車のローン500万円が審査のポイントに
今回のI様は、上場企業に勤務し、年収は約850万円でした。
住宅ローンの借り換えを検討するうえでは、収入や勤務先などの条件は重要な判断材料になります。
一方で、I様には車のローンが約500万円残っていました。
住宅ローンの審査では、年収だけでなく、住宅ローン以外の借り入れや返済負担なども確認されます。そのため、年収が一定水準に達していても、既存借入の状況によって審査結果が変わる可能性があります。
今回も、車のローンが残っていたことから、住宅ローンの借り換えを進めるうえで慎重に検討する必要がありました。
当センターでは、こうした既存借入も含めて状況を確認し、融資の可能性を探りました。
その結果、某地方銀行の融資を利用する方向で手続きを進めることができました。
今回の対応は、車のローンを住宅ローンに単純にまとめる、いわゆる「おまとめローン」として処理したものではありません。融資先となる金融機関の融資条件に合わせて、住宅ローンの整理を進めた事例です。
既存借入がある場合、住宅ローンの借り換えが必ず実現できるわけではありません。しかし、年収だけで判断して諦めるのではなく、借り入れ全体の状況を確認し、対応可能な方法を検討することが大切です。
5.5,300万円の融資と諸費用250万円を分けて考える
今回のI様は、住宅ローンの整理にあたり、総額5,300万円の融資を利用する方向で手続きを進めました。
また、名義変更や融資に伴う諸費用として約250万円を自己資金で用意されていました。
離婚に伴う住宅ローンの借り換えでは、住宅ローンの残高だけを見て計画を立てると、手続きの段階で資金が不足することがあります。
実際には、金融機関の融資に関する費用、登記費用、不動産取引に伴う費用など、さまざまな費用が発生する可能性があります。
必要な費用は、取引の内容や金融機関、登記の内容などによって異なります。
そのため、住宅ローンの借り換えを検討する段階で、融資額だけでなく、諸費用をどのように準備するかも確認しておくことが重要です。
今回のI様は、諸費用約250万円を自己資金で用意されていたため、融資額と諸費用を分けて計画を進めることができました。
このように、離婚に伴う不動産の名義変更では、住宅ローンの審査だけでなく、必要な資金や手続き全体を見通して準備することが大切です。
6.当センターで売買契約書・重要事項説明書を作成し、名義変更を完了
今回の案件では、妻の持分を夫が取得する不動産取引を進めるにあたり、当センターで売買契約書や重要事項説明書を作成し、必要な手続きを進めました。
離婚に伴う持分移転では、単に登記上の名義を書き換えればよいというわけではありません。
持分をどのような形で移転するのか、住宅ローンをどのように整理するのか、金融機関の承認を得られるか、必要な契約書類をどのように整えるかなど、複数の事項を調整する必要があります。
今回も、融資先の金融機関との調整を進めながら、不動産取引に必要な書類を整え、手続きを進めました。
そして、無事に名義変更を完了することができました。
離婚に伴う住宅ローンの整理では、金融機関との調整と不動産取引の実務を切り離さずに考えることが重要です。
当センターでは、こうした案件について、相談者の状況を確認しながら、融資の可能性や不動産の持分移転の方法を検討しています。
7.連帯債務型の住宅ローンは、対応できる相談先が限られることも
離婚に伴う住宅ローンの問題をインターネットで調べると、ペアローンの解消や住宅ローンの名義変更に関する情報は見つかります。
しかし、実際の案件では、住宅ローンの契約形態、夫婦それぞれの持分、既存借入、収入、金融機関の審査など、複数の条件が関係します。
特に、ペアローンではなく連帯債務型の場合、契約内容を確認したうえで、どのような形で債務関係を整理できるのかを検討しなければなりません。
そのため、一般的な住宅ローン相談だけでは対応が難しく、相談先を探しても具体的な進め方が見つからないケースがあります。
当センターでは、離婚に伴う住宅ローンの借り換えや不動産名義の変更、共有名義不動産の整理などについて、これまで数多くのご相談を取り扱ってきました。
今回のような連帯債務型の住宅ローンについても、過去の取り扱い経験を踏まえ、契約内容や金融機関の条件に応じた方法を検討しています。
もちろん、すべてのケースで融資が認められるわけではありません。最終的には金融機関の審査・承認が必要です。
それでも、契約形態が特殊だからといって、最初から諦めてしまうのではなく、状況を整理し、対応できる方法がないか検討することには意味があります。
8.離婚時の住宅ローンは「ペアローンかどうか」だけで判断しない
今回の杉並区浜田山I様の事例では、夫婦の収入を合算した連帯債務型の住宅ローン5,300万円があり、不動産の持分は夫7/10、妻3/10でした。
離婚にあたり、夫が妻の持分を取得し、夫単独名義に変更することがご希望でした。
夫は上場企業に勤務し、年収850万円という条件があった一方、車のローン約500万円が残っていたため、既存借入も踏まえた検討が必要でした。
そこで、某地方銀行の融資を利用する方法を進め、諸費用約250万円は自己資金で用意。売買契約書や重要事項説明書などの書類を整え、無事に名義変更を完了することができました。
この事例から分かるのは、離婚に伴う住宅ローンの問題は、ペアローンだけに限らないということです。
連帯債務型の住宅ローンでも、不動産の持分と債務の関係を確認し、金融機関の承認を得ながら適切に整理する必要があります。
「ペアローンではないから大丈夫」「夫が今後の返済を負担するから問題ない」と単純に判断せず、住宅の名義と住宅ローンの契約をセットで確認することが重要です。
離婚しても、マイホームを残す・名義を変えるという選択肢を。
一般社団法人 共有名義不動産問題研究所では、離婚に伴う住宅ローンの借り換え、不動産名義の変更、連帯債務型住宅ローンの整理、ペアローンの解消など、ご相談者の状況に応じた解決方法を検討しています。
「ペアローンではないが、離婚時に住宅ローンを整理したい」
「夫婦の共有名義を夫または妻の単独名義にしたい」
「住宅ローン以外の借り入れがあり、借り換えできるか心配」
「金融機関に相談しても、具体的な方法が分からない」
このようなお悩みがある方は、売却しかないと決めつける前に、一度ご相談ください。
※本記事は実際の相談事例をもとに構成しています。住宅ローンの借り換えや債務者の変更、不動産の名義変更は、個別の契約内容や金融機関の審査・承認によって可否が異なります。持分の移転に伴う税務上の取り扱いについても、必要に応じて税理士などの専門家にご確認ください。
離婚住宅ローンセンター
住所:東京都中野区中央1丁目1−1
マイライフビル 2階
電話番号:0120-689-798
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